ブラザー印刷株式会社の企業理念は「近所平和」である。
なんだかポカポカ陽気に気の抜けたような理念だが、私が代表を継いでもなお、変えずにいる。
何故か。
今年度から、当社は「健康経営」に取り組んでいる。その中で社員にアンケートを取るという施策があった。完全無記名で、健康経営に対する意識や、社員それぞれの心身の健康に関わるもの、健康と不調の実態を明らかにし、それらの要因に関するアンケート。まだ社内に向けて健康経営について口頭で説明していない段階でのアンケート結果は、ほぼ想像した通り。ただ一つ、少しだけドキッとした項目があった。
「経営理念(ビジョン)などの浸透について」
伝わっていない…これはいかん。年に1度、経営計画発表会と題し、半日かけて単年度・中長期計画について発表会を行っているわが社で、「経営理念についてあまり知らない」という結果が最多!
これはいかん…。伝えている「つもり」だったのだ。「人のせいにしない」と言葉を変えてみたりもしたが、伝わっていなければ、伝えていないのと同じである。聞き手の粗相は言い手の粗相だ。ビジョンを示す。それこそが経営者の仕事のはじめの一歩のはずなのに。
今日の朝礼ではアンケート結果を踏まえ、当社の経営理念について語ることにした。「他人事を自分事にするのが、近所平和だよね」そう前社長の岡田氏も言っていたことに加え、昨今の新入社員教育でも他人事を自分事に置き換えることの重要性を説くのだという事実とともに話した。自分事化はセルフマネジメントの一つでもあるので、一朝一夕にはできないかもしれないが、それでこそ企業理念として掲げる意味も増してくる。
なんせ「他人事を自分事にすることが出来るようになった人材は、成長スピードが早い」ということもあるので、中小企業の人材こそ、やらされて仕事するのではなく自分で考え、責任感を持って自分で自分の機嫌を取れる人材へと成長してくれることが肝要だ。その結果、企業として底力が上がることは言うまでもない。
そんな話を、してみたけど、、、どうかな。
飽きずに諦めずに伝え続けなくちゃ、それこそ手を変え品を変え。やるぞ!